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Netflixのマレーシアドラマ「彼岸の花嫁」感想

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彼岸の花嫁メインビジュアル

「彼岸の花嫁(原題:The Ghost Bride)」全6話を観終わりました。当初は台湾関連作品であることや中国語作品であることが理由ではなく、ただ単に予告編で興味が湧いたので何の気なしに観始めただけだったのですが個人的に大好きな作品になったので思うがまま感想を書き散らかしていきます。

メインビジュアル画像引用元:Netflix: Get To Know The 9 Main Characters In The Ghost Bride

「彼岸の花嫁」とは

天白と李蘭
画像引用元:Netflix「彼岸の花嫁」シリーズ1-第1話

Netflixニュース「Netflix 華語原創影集《彼岸之嫁》正式宣布卡司陣容」によると台湾とマレーシアが共同制作したドラマで、New York Timesでベストセラーになった同名小説(中国系アメリカ人作家の朱陽西作)をマレーシア人監督がドラマ化したものです。
舞台が1890年のイギリス植民地時代のマラッカであるためタイピン、イポー、ペナンやジョホールなどのマレーシア各地で撮影され、作中では建物や衣装などにマレー文化と中華文化の融合したババニョニャ/ペラナカンの文化も垣間見れます。Netflixがマレーシアで制作した初めての中国語作品だそうです。

「彼岸の花嫁」(原題:The Ghost Bride、中国語題:彼岸之嫁)
リリース:2020年1月23日
制作元:Netflix
制作国:台湾、マレーシア
言語:中国語、マレー語、広東語
話数:シーズン1(全6話)

あらすじ

藩麗蘭(以下:リーラン)は父とばあや、王さんと暮らしている明朗な女性。ある日そこまで親しくもない林家の宴に招待される。1ヶ月前にその家の林天青(以下:ティエンチン)が亡くなったにもかかわらず宴を開くことを訝しみつつも宴に訪れた藩家。そこには香港で医学の勉強をしていたリーランの初恋相手・林天白(以下:ティエンバイ)も5年ぶりに戻ってきていた。

リーランを呼ぶ何者かの声に誘われて、ある部屋に辿り着くリーラン。そこは亡きティエンチンの部屋だった。
宴の場で「リーランをティエンチンの冥婚相手にしてほしい」と相談されたリーランの父とばあやはその相談を断り林家を後にする。
その日以降、ティエンチンが夢に出てきてうなされるリーラン。時を同じくしてリーランの父が病にかかり、生死の境を彷徨う状態になっていた。
リーランの夢に出てきたティエンチンが実は何者かに毒殺されたことを告白し、リーランがその犯人を明らかにするのと引き換えにティエンチンはリーランの父の命を救うという取引を2人は結ぶ。
犯人捜しを始める中で、リーランは林家で働く怪しい男・二郎(以下:アルラン)と出会う。何と彼は天界の番人で、黄泉の国に違法滞在しているティエンチン逮捕のために林家に潜り込んでいた。
ティエンチンの死の真相を求めるうちに行動を共にするようになった2人。さて、ティエンチンは誰に殺され、リーランはどうなる…?

「彼岸の花嫁」公式予告編

ティエンチンの部屋に迷い込んだ際、使用人に見つからないように咄嗟にベッドの下に滑り込んだリーラン。ただ、そこには既に先客(アルラン)がいたんですよ。このシーン大好きです。

感想

予告編を見た時は「出てくる人間みんな怪しい!」みたいなシリアスなサスペンスものだと思ったのですが全然そんなことは無かったです。ぎょっとする怖い絵面もたまにありましたが、ホラー映画が全くダメな私でも許容範囲でした。

最初は結構謎が多いです。林家の庭で大量の折り紙やティエンチンの私物を燃やしているシーンは最初は何をしているのか分からなかったのですが、黄泉の国でティエンチンが悠々自適で暮らせるように冥銭や使用人(キョンシーみたいな人)を送っていたのだと分かりました。
黄泉の国と現世との関係の描き方も面白いです。ティエンチンに憑りつかれたリーランを助けるために路傍でばあやが悪霊退散の除霊をしてもらっている時、除霊のお札を叩きのめすのに合わせて黄泉の国のティエンチンの食卓が大荒れしたんですよ。
黄泉の国や悪霊などという概念は中国文化を共有している日本人には理解しやすいと思います。

主人公のリーランがとにかく天真爛漫で良い女性です。幼い頃に母親を亡くすも父親やばあやの愛情をたっぷり受けて育っているので心根が真っすぐなんですよね。リーランがティエンチンと結婚するために黄泉の国に渡った際に母親と再会できたシーンは見ていて嬉しくなりました。
リーランとリーランの母とは別に林家の義理の母娘の関係も随所随所で描かれるのですがこちらはかなり冷え切ったものです。ただ、互いに憎しみを抱いていないことを認知し合えたことで最終的には互いを「母」「娘」として認めるようになったので良かった良かったと思いました。

そして何と言ってもリーランを巡る3人のメンズも忘れてはいけませんね。

  • 医者志望の冷静沈着で堅実な男性:林天白
  • 横暴で冷酷な男:林天青(林天白の従弟)
  • 飄々としつつ根は熱い天界の番人:二郎(アルラン)

私の好みは断然アルランです。どうでもいいことですが、アルランは漢字表記だとなんか間が抜けた感じが否めないですね…(私が「じろう」と打って漢字変換しているせいもあるかもしれません)。
最初は余裕綽々で飄々としたよく分からん使用人だと思っていたのですが、正体をばらした後は回を追うごとにアルランがリーランへの想いを強めていくのでその様子にはニヤニヤしっぱなしでしたね…ちょっとアルランへの愛を語りたいのでこれは後ほど。

ティエンチンに対しては最初は私は「毒殺されたなんて…なんか面倒なことにでも巻き込まれたんかな」と同情していたのですが使用人からの証言や黄泉の国での行動や言動、毒殺された原因などを知るとクズの極みだったので同情の余地なしですね。あいつは正真正銘のクズ野郎でした。
ただ、好きになったリーランにだけは紳士的に振舞おうとしていたので、甘やかされて育った結果傲慢になったもののほんの僅かに良心を残していた哀れな男、のようなイメージです。
メインビジュアル画像で両手を広げてドヤ顔&悪役顔しているのがティエンチンです。

でも私がこのドラマを観たいと思ったきっかけは予告編でティエンチンの「好(いいだろう)」という言い方があまりにも尊大で印象的過ぎたためなんですよ。中国語の「Ok」は「好」とは知っていましたが「こんな偉そうな”好”あるんかい」と面白く感じたのでその日のうちにNetflixで第1話を鑑賞した次第です。
なのでティエンチンありがとな(雑)

最終的にティエンチンの毒殺とリーランの昏睡に用いられたものは同じだったと分かるのですが、「えっ、犯人この人なん?」と思わずにはいられませんでした。

マレーシアの歴史について

ここでちょっとドラマの背景について補足など。
「彼岸の花嫁」の舞台はかつてのマラッカなので、時代背景も考えるとより面白いかもしれません。私は最終話までこのドラマは中国近辺のどこかを舞台にしていると思っていたので、多国籍な住民の描写や中国風ではない衣装などを目にするたび不思議な気持ちになっていたのですがそもそも場所がかつてのマレーシアだったと知って色々納得しました。

「彼岸の花嫁(The Ghost Bride)」関連のYoutube動画まとめ

制作風景(英語字幕)

現世と黄泉の国で衣装や建物の色合いを変えているだけでなく、現世では当時のマラッカらしさを出しつつ黄泉の国ではゴシック調の西洋式を取り入れて違いを明白にしたようですね。
黄泉の国で食卓に並んでいた豚の頭や蛙、大量の虫は本物だったため黄泉の国の館の撮影現場では実際に腐敗臭が漂っていたそうです。なんと…

林家の3名と監督達へのインタビュー(英語字幕)

ティエンバイ役の林路迪(一番右)は中国版Wikiによると高校まではオーストラリアで過ごし、その後はカナダのブリティッシュコロンビア大学で演劇を学んだ中国系カナダ人だそうです。通りで英語の発音がとても綺麗な筈です…
監督達によると原作はもっと陰鬱な感じですが今回ドラマ化するにあたり少し若者向けに脚色したそうです。原作は英語で発行され、Amazonからも購入できるので今度読んでみます。

監督3名へのインタビュー(英語字幕)

動画内で今回の制作で何が1番大変だったかを訊ねられた際「世界190か国で配信されているNetflixの他の作品と並んでも遜色ない出来にしなければならないというプレッシャーが個人的に一番きつかった」と一人の監督が答えていました。
6話という少ない話数ですがそれを制作するまでに多くの人や労力が関わっていることを実感しました。

「彼岸之嫁」出演者トークショー第1弾(繁体字字幕)

中国語音声なので全ては分からないのですが繁体字字幕の漢字で何となく雰囲気は分かりました。出演者達が賑やかで楽し気なので、中国語を勉強して理解できるようになりたいです。
アルラン役の吳慷仁はドラマでなくても終始ユーモアたっぷりで人柄の良さが伝わってきますね…吳慷仁が自撮りをしていた時「二郎掌鏡中」とテロップが出て面白かったです。
ティエンチン役の田士廣はドラマ内では恐怖の権化のような存在感だったのですが本人は穏やかによく笑う人だったので印象が変わりました。

「彼岸之嫁」出演者トークショー第2弾(繁体字字幕)

トークショーの続きです。マレーシアの食べ物、衣装などについても話しています。アルランがリーランに花を出して見せるシーンの再現がありました。
サムネイル画像のティエンチン可愛いですね(笑)「ドラマ内の威圧感はどこいった?」というくらいティエンチン役の田士廣は素直な人だなと思いました。
ティエンバイ役の林路迪は実生活でも落ち着いた人ですね…佇まいが洗練されている気がします。

「彼岸之嫁」キャスト紹介ショー(繁体字字幕)

アルラン役の吳慷仁は先のトークショーの際もリーラン役の黃姵嘉のドレスの裾をちょこちょこと手伝っていましたがまさかのここでも(笑)
背の高い俳優3名がリーランとイザベルを軽々とお姫様抱っこをする様は惚れ惚れします。

他にも「彼岸之嫁」というwordでYoutube検索すると沢山の中国語TV番組動画が見れます。中国のTVには最初から字幕があるとは聞いていましたが本当なんですね…
文法も発音も分からないのに漢字を見ればなんとなく意味が掴めるので漢字圏のありがたみを実感します。

一旦まとめ

中国語を勉強しようと思っていたところでこのような大好きなドラマに出会えたのでちょうど良かったです。これから繰り返し観て中国語を勉強していきます。

そして本来ならこの記事内で語りたかったアルランへの愛は途中まで書いたらあまりにも長すぎたので記事を分けました(この記事は全部で4,500字程度なのですが、アルランへの愛を綴った章は2話目までをざっと書き終えた時点で3,500字に達したので)。
私と同じようにアルランに夢中になった方や続きが気になる方のみこちらからどうぞ。

続きの記事

「彼岸の花嫁」のアルランへの愛を綴った記事

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