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剪除法手術を受けた時のこと

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白い天井

一昨日、両脇の剪除法の手術を受けました。私自身、手術ということで病院を決めるまでに相当調べに調べたので今回のことを書き留めておこうと思います。

結論から言うと、手術を受けて本当に良かったです。誰かの参考にでもなれば。

手術を決意するまで

私は極度の多汗症でした。
中1頃から異常に汗をかくようになり、暑い夏は言わずもがな涼しい日や寒い冬、寝る前のわずかな時間ですら毎日大汗をかくような生活を10年以上続けてきました。

どれくらい汗をかくかというと、本を読む際ページをめくる手の汗で本が塗れたりノートやテスト用紙に文字を書く際手汗で塗れて書けなかったりPCのキーボードに水滴がついたり、裸足でいても靴下を履いていても床に足の跡がくっきりついたりする程です(そのため、私は素足でサンダルを履けません)。
高校の体育祭でフォークダンスを踊る時、手汗の気化熱のせいで手の平がかなり冷たかったので「手、冷たっ!」と男子達から言われることも嫌でした。

手汗や足汗、背中や太ももの汗でべちゃべちゃになるのは百歩譲ってまだ良いとしても(心情的には全く良くないですが)、中でも脇の汗染みがとにかく嫌でした。

巷の「大汗さん用」シャツ程度では全く効かず、汗脇パッドを下着のシャツとその上のシャツに2枚重ねにしても汗染みができていたので夏は綿や麻の素材の服を着ないようにし常にナイロンかポリエステルを着てきました。
冬は重ね着できるので夏よりはまだ良いとしても、綿の服や薄い生地の服は着れません。

汗をかくと当然臭いも発生します。女性用の8×4や市販の消臭スプレーでは無意味だったので男性用のGATSBYを使用したこともありますが午後にはその効果が切れていたのでこれも合いませんでした。
1番効いたのは軍隊用消臭パウダーですが、軍人が行軍中数日間入浴しなくても済むように消臭効果が強力な分、高額な上に粉っぽさがかなり残るため使用をしなくなりました。

社会人になり、ある程度の金額なら自分で都合できるようになったので多少金額がかかってもいいから多汗症を治療したいと切実に思っていました。
その時に偶然電車内広告で湘南美容クリニックの「ワキガ・多汗症治療」の広告を目にして「多汗症は手術で治せる」ということを知りました。

そこから「多汗症 手術 脇」のように検索し、手術と言っても様々なものがあることを知りました。
どうせ手術をするなら効果が強力なものがいいと思っていると、皮弁法(剪除法という方が一般的のようです)という手術なら保険適用で両脇4万円ほどで処置可能ということを知りました。

剪除法(皮弁法)について

素人の私が医療のことをあまり書きたくないのですが、剪除法は「保険適用のため安価」「医師が直接アポクリン腺を取り除くので効果が半永久」というメリットがあります。
ただ、脇を切って皮膚を裏返して汗腺を徹底的に切除していくので「傷跡が消えるまでに1年くらいかかる」「手術後は1週間ほど肩と脇を固定する必要がある」というデメリットもあります。

様々な皮膚科のサイトで手術の症例などを調べておおよその流れや経過など分かった後、「ほんの少しの期間我慢すれば一生効果が続くなら剪除法を受けよう」と決意しました。

手術前

私が予約したのは銀座三越のすぐ近くにある「日本橋形成外科」です。

手術を受けるにあたり剪除法を取り扱う都内の様々な病院のHPを見たのですが、こちらの外科は「脇臭症特集ページ」内で多汗症の仕組みの解説からよくある質問、臨床研究結果の提示や実際の手術をイメージできるような写真や説明も豊富だったことから信頼ができました。
実際に問診や執刀してくださった医師の方や看護師の方が丁寧だったので、こちらの外科に行って良かったと思いました。

日曜出勤の振り替え休日を平日にとれた日、初診を予約しました。
両親の多汗具合や実際に治療する場合は保険適用を希望かどうかなどを問診票に記載し、医師の方から問診を受けました。その際に医師の方による図も併せて詳細に説明を受けることができました。

現在の脇の状態を「10」とすると手術後はそれが「2~3」程度にまで下がると説明を受けた時、「そんなに劇的に改善するのか…!」と嬉しく思いました。
できるだけ早めの手術を希望すると、幸いなことに翌週に決まりました。

一人暮らしのため片方ずつの方が良いのかなと思っていたのですが両脇同時でも大丈夫と言われたので同時に手術をしていただくことにしました。
この日は手術前の採血をして30分くらいで終わりました。

手術前日に手術後のことを考えて以下のことをしたりしました。

  • 高いところに置いて使っていた電気ケトル(毎日使うもの)を床に置いた
  • 外出しなくて済むように食品の買い溜めをした
    (この時野菜も買ったのですが、手術後は包丁で固いものを切るということ自体が脇に力が入る動作だと気付いたので結局料理はせず、冷凍ご飯を解凍して目玉焼きと食べたりパスタやうどんを湯がいたり程度のことに留めました)

日本橋形成外科の情報

日本橋形成外科・皮フ科・美容外科
診療時間
・月水木金 10:00~14:00 15:00~19:30(最終受付19:15)【火曜日休診】
・土日祝 10:00~15:00(最終受付14:30)
公式サイト

手術当日

初診の日に、手術当日はブラかブラトップのどちらがいいかを看護師の方に訊ねた際、「両方大丈夫ですがブラトップの方が着やすいかもしれません」と言われたので、手術当日は以下の格好で行きました。

  • キャミソールタイプのブラトップ
  • 前ボタンのブラウス
  • 前開きのパーカー
  • 脇がゆったりしたアウターのジャケット


ブラトップはタンクトップタイプではなく長さを調節可能のキャミソールタイプを着ていったのですがその方で良かったと思いました。というのも、このタイプなら紐が伸びるので多少は着脱の融通が利いたからです。

手術は15時からだったので13時半までは在宅勤務をしていました。その後電車で片道1時間揺られて病院に着くとすぐに手術が始まりました。
てっきり仰々しい手術着を着るのかと思っていたのですが上半身裸になり胸から下は被るタオル(水泳の着替え時に使うようなもの)で覆って仰向けになるだけだったので下半身はGパンでした。

局所麻酔なので意識は鮮明なまま1時間半ほど手術を受けました。
布で覆われるため自分の脇がどのようになってたのかは見えなかったのですが、分厚い布を裁ちバサミでジャキジャキ裁っていくような音が終始していました。

麻酔が効いていたので痛みはありませんでした。皮膚を引っ張って露出させた汗腺を切除される時の感覚はパーカーの裾が木の枝に引っ掛かった際に「痛みは感じないけど何かに引っ張られている」と分かるような状態に近いです。

閑話休題の余談

植物

注射に対して恐怖心は薄いのですが手術というものに対しては不安が少しありました。
そのため、以前どこかで「自分の大切な人の写真を見ると患者は痛みが和らぐ」というのを聞いたことがあったので、不安な時は文通友達の彼の穏やかな表情を思い浮かべたりしていました。先入観もあるのかもしれませんが、そうすることで不思議と気も落ち着きました。

実際に自分が手術を受けてみて思ったのは、手術を受けている側の人間は麻酔をされていたり手術箇所を覆われたりしていて自分の身に何が起きているのかよく分からないので、手術中はそれを傍で見守る側の人の方が不安が大きいのではということです。

ただ、これは私の場合ですが手術を受けている方からするとその時に泣きそうな顔で不安げに覗き込まれるよりも、「大丈夫」と優しく微笑まれている方がはるかに安心でき痛みも軽くなるように思えました。

手術を受ける誰かの不安を受け止める際は一緒になって不安がるよりも「大丈夫」という前向きな見守りの方がいいのかもしれない、とふと思いました。

以降は手術後の経過について書いていきます。

術後~当日

術後、両肩をがっしりと包帯で固定されたので服を着るとラグビー選手のようになりました。腕を後ろに回すこともできないので、看護師の方に着衣を手伝ってもらう際は苦労しました。手術の際は前開きの服を着てくるよう言われた理由が分かりました。

包帯で固定した上に「ガーメント」という固定布を着るかどうかは任意です。
12,000円くらいするので「たった1週間のために1万円もするなら別にいいや」と思っていたのですが、私は一人暮らしのため包帯がずれた際に元に戻せないこと、ガーメントがあれば固定ができるので安心ということを聞いたので購入を決めました。加えて、きちんと固定しておいた方が傷口の治りにもいいのではと思ったためでもあります。

手術は当日現金支払い(保険適用で42,000円ほど)でしたがガーメントはカード払いできました。
後述しますがガーメントを買って良かったです。

血圧を上げないためにも当日はあまり歩かないよう伝えられました。帰宅後は手術後に備えて作っておいた鍋をちまちまと食べ、あまり腕を動かしたくなかったので看護師の方の提案通り洗髪はしませんでした。

食後に処方された薬と痛み止めとして貰ったロキソニンを飲みました。
夜に痛みは無かったのですが、腕を動かせないことによってずっと同じ体勢で寝ることの方がきつかったです。ファラオのように胸の上で腕を組んだりしていました。

剪除法手術の後にできなくなったこと

私は一人暮らしなので何をするにも自分でするしかないのですが、予想できていた「重いものを持てない・背負えない」の他に感じた困難なことを挙げてみます。

  • 洗濯物や布団を気軽に干せない
    今までは背伸びしたり腕を伸ばしたりして干していた動作ができなくなりました。また、何かを抱えることもできないので布団を持って運んで干す、ということもできませんでした。
  • ゴミ袋を結べない
    ギュッと縛る際に脇に力がかかるので怖くてやめました。
  • プッシュタイプのシャンプーなどを押しにくい
    上から圧力をかける際に脇にも力がかかるので困りました。除菌アルコールボトルも同様です。
  • 歯磨きがしにくい
    腕を小刻みに前後する動作がなかなか脇にひびきました。
  • お菓子の袋を開けられない
    ポテチのような袋を両手で水平に引っ張って開けるようなことができないのでハサミで切って開けていました。
  • 高さのある容器内の飲み物が飲みにくい
    コップ程度ならいいのですが、ペットボトルの底の水を最後まで飲む際は腕を高く上げないといけないのでその動作が難しかったです。
  • 前開きの服以外を着れない
    腕を後ろに回せないし上げられないので、シャツの袖に腕を通すという動作ができません。そのため、普通の半袖Tシャツなどは着れません。
  • 腕をついて起き上がれない
    普段何気なくしていた動作ができないので、もぞもぞと体を捩じって起き上がっていました。また、脇が圧迫されるので片側を向いて寝るということもできませんでした。

術後翌日~3日目

翌日、術後観察のため再び病院に行きました。問題なかったようで血抜きのドレーンを除いた後に包帯を変えていただきました。

この日の夜は洗面台で頭を洗いました。まだ全身シャワーができないので、首から下は濡れタオルで拭き、足だけボディソープで洗いました。足の付け根部分はデリケートシートが役立ちました。

手術を受けたのが冬で良かったです。夏ならガーメントや包帯で蒸れていたでしょうし、1日洗髪しないなんてことは大汗かきの私にとっては考えられないことなので…
また、髪が短くて良かったとも思いました。狭い洗面台で不自由な両手で髪を洗うのはなかなか難しいです。2日目の夜も同じような体勢で寝ました。

今日は3日目ですが、常に脇の間に拳大のガーゼが挟まっている状態にも少し慣れました。それでも動きにくいのは相変わらずなのでタイオーバーを外すのが待ち遠しいです。手術後5~7日後で外せるそうなのであと少しですね…

ただ、このままだとIELTSは両肩がっしり状態で受けることになりそうです。筆記ではなくコンピュータタイプを申し込んでて良かったです。
とは言うものの、PCを使う際もマウスを動かす時に腕が制限されますし、タイピングする際も腕の筋肉を使うのか大量の文字を速く打つこともできないのですが、長時間手に力を入れて何かを書くことに比べたらまだマシな気がします。

タイオーバー除去(術後4日目)

月曜に手術を受け、木曜日の経過観察で「血も出ていないし経過良好」と言われたので1日早い金曜日にタイオーバーを取っていただけました。

脇に挟んでいた分厚いガーゼが無くなったので一気に動かしやすくなりました。
この日から全身シャワーが可能になったのでシャワーを浴びる際は脇を石鹸で優しく洗うよう言われました。調べて知ったのですが、石鹸で洗うことで皮膚表面の細菌の繁殖を防げる(=皮膚が清潔になるので化膿を防げる)そうです。

化膿止め用の「ゲンタマイシン軟膏0.1%タイプ」1gのチューブと、ガーゼを留めるためのテープを処方していただけました。
取り替えるためのガーゼは自分で購入する必要があったので近所のドラッグストアで購入しました。この時は1mくらいのものを購入したのですがシャワー後と寝起き後に取り換えていると数日で使い切ったので、次の時には10mタイプを購入しました。

次回はこの1週間後に経過観察として再び通院します。

術後5日目

この日はIELTS受験の日だったので朝から外出していました。タイオーバーが無いのですごく楽でした。
ただ、500mlペットボトルを入れたバッグを左肩にかけて移動していたせいか夕方には左脇がズキズキと痛み始めました。バッグを肩にかける→何かを取り出すために腕を動かすという動作ですら避けるべきものだったようです。ガーゼに血が滲んでいたので「しまった…」と思いました。

術後1週間目

シャワー後と寝起きに軟膏を塗ってガーゼを当てる、ということを繰り返していたのですがガーゼが途中で外れて摩擦が起き、かさぶたが取れたのか血が滲むようになったのでガーメントを着て過ごすようになりました。

ガーメントを着るとガーゼが傷口から動かないので血が滲むことも無くなりました。寝ている時や、日常で家事やPCで仕事をしている時に一応気を遣ってはいたのですが気付かないうちに腕を動かしていたようです。

タイオーバーを外した後の安静期間にも役立ったのでガーメントを買って良かったと思いました。テープだけだとどうしても外れやすいですね。

術後2週間目

引き続きガーメントを付けて生活しています。タイオーバーを外した直後は傷口回りが鬱血して黒く見えていたのですが2週間も経つとそれも収まりました。

買い物袋を持って歩いたり、横向きに寝たりすると依然として少し痛みはあります。
両脇の抜糸をしていただきました。傷口が完全には塞がっていなかったのですが時間経過で塞がるので大丈夫、と医師の方に言われたので安心しました。

術後3週間目

何かを持ったりしても痛みをほぼ感じなくなったので、術後初めて腕を上げてシーツを干してみました。ただ、やはりその後少し痛んだのでそれ以降はまた今までのように低い位置にシーツを干しています。布団は持ち上げてベランダの手すりに干せるようになりました。

3週間も経つとほぼ不自由なく日常生活を送れるようになった気がします。傷口もほぼ塞がり始めているので、服で擦れたりしないように今も脇にガーゼを当ててその上からガーメントを着ています。
手術痕というよりは「縦線の皺が多いな」と見えるくらいにまで傷が塞がってきました。

術後4週間目(1か月後)

経過順調だったようで、受診時に医師の方に「引きつるかもしれませんがこれから毎日少しずつ腕を伸ばすようにしてください」と言われたので1か月経った頃から努めて日常生活の動作を行うようにしました。

徐々に恐怖感も薄れたおかげで腕を上げて洗濯物を干したりすることに始まり、ブラトップからブラに戻したり普通のTシャツを着てみたりといったことが再び出来るようになりました。痛みも無いし傷口も塞がっているのでガーゼを当てることもやめました。

シャワーを浴びる際に脇だけはタオルではなく泡立てた手で優しく洗うということ以外は手術以前の日常に戻ったと思います。
傷口は未だに「縫ったんだな」と分かる跡が残っていますが1年後も経てば綺麗に消えていると思うので全く問題ないです。
次は2か月目の経過観察で受診します。

術後2ヶ月目(2月)

経過は順調で、たまに腕を変な角度にするとズキンと痛む以外は完全に日常に戻りました。傷口もどんどん塞がっていっています。

私が3月に出国するのでこの時で最後の通院になりました。

術後3ヶ月目(3月)

2月後半からはアパート退去のために不用品処分などで重いものを移動させたり体を動かしまくっていましたが痛むこともなかったです。また、現在40Lのバックパックを背負って歩きまわっていますが平気です。腕回りの筋トレも再開しました。

手術後は傷口が盛り上がっていたのですがそれもなくなり、今は手で触っても平らな皮膚です。縫い跡の線はまだありますが、それもどんどん薄れてきています。

剪除法手術を受けて良かったこと

手術後に一番変わったのは、「汗の量」です。私は真冬でも大汗をかき、夕方になると汗ジミができているような体質だったのですが、まずそれが無くなりました。気温の低い日は下着のシャツにすら汗ジミができなくなったんです。これは本当に本当に嬉しいことです。

これまで10年以上苦しんできたのが嘘のようです。脇汗をかかないので臭いも発生しません。朝起きた時に、一晩中着ていたTシャツの脇部分がグッショリ濡れて臭うこともありません。ようやく普通の人のように服を楽しめるようになりました。
これなら夏もオシャレを楽しめるかもしれません。

次に変わったのは「脇毛」です。手術をした部分に一切毛が生えなくなりました。そのため、今は手術部分以外の部分にチョロチョロ生えた数本の毛を毛抜きで抜く程度の処理です。

脇汗も抑えられ、脇毛も生えなくなったので個人的には良いことずくめでした。

まとめ

脇の臭いに悩んでいる人がいたら剪除法手術のことを教えてあげたいくらいです。思い切って手術を受けて本当に良かったと思っています。

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